切通理作
@risaku

連載「特撮黙示録1954-2014」

ゴジラGODZILLA 怪獣という<神>の降臨

 

ゴジラは神なのか

理解を越えた制御不能の力が発動され、生命が大量に無意味で無残な形となって消え去った時、人はそれを「神」の仕業だと思う。否、そう思うしかない。

『赫獣』の「黙示録の騎士たち」という章では、怪物に大切な人を奪われた少年が、ショックで声を出せなくなりながらも、教会で神に祈るくだりがある。

この事態を神が許したのだとするなら、にもかかわらず生きていくということは、神に逆らうことになるのではないか。

これはゴジラの綴りに「GOD」が入り、ゴジラはむしろアメリカで神格化されたことにも通じるかもしれない。

当のアメリカが起こした核攻撃から復興し、いままた原発事故の災厄を抱えながらも、狭い国土の中でそれらを包含し尚も生き延びている日本人。

そんな国の発想力から生まれたゴジラは、決して滅びることのない神なのだ。
怪獣……それは近代文明の飽和状態にある我々に残された、禍々しい破壊のカタルシスであり、最後の希望である。

 

ゴジラGODZILLA

7月25日公開
公式サイトhttp://www.godzilla-movie.jp/ 

 

筆者:切通理作

311964年東京都生まれ。文化批評。編集者を経て1993年『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』で著作デビュー。著書に『お前がセカイを殺したいなら』『情緒論~セカイをそのまま見るということ』『特撮黙示録1995-2002』等がある。『宮崎駿の<世界>』でサントリー学芸賞受賞。今夏に『ゴジラ』のオリジンを生み出した映画監督を論じる『本多猪四郎 無冠の巨匠 MONSTER MASTER(仮)』(洋泉社)を刊行。

 

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「新しい日本映画を全部見ます」。一週間以上の期間、昼から夜まで公開が予定されている実写の劇映画はすべて見て、批評します。アニメやドキュメンタリー、レイトショーで上映される作品なども「これは」と思ったら見に行きます。キネマ旬報ベストテン、映画秘宝ベストテン、日本映画プロフェッショナル大賞の現役審査員であり、過去には映画芸術ベストテン、毎日コンクールドキュメンタリー部門、大藤信郎賞(アニメ映画)、サンダンス映画祭アジア部門日本選考、東京財団アニメ批評コンテスト等で審査員を務めてきた筆者が、日々追いかける映画について本音で配信。基準のよくわからない星取り表などではなく、その映画が何を求める人に必要とされているかを明快に示します。

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切通理作
1964年東京都生まれ。文化批評。編集者を経て1993年『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』で著作デビュー。批評集として『お前がセカイを殺したいなら』『ある朝、セカイは死んでいた』『情緒論~セカイをそのまま見るということ』で映画、コミック、音楽、文学、社会問題とジャンルをクロスオーバーした<セカイ>三部作を成す。『宮崎駿の<世界>』でサントリー学芸賞受賞。続いて『山田洋次の〈世界〉 幻風景を追って』を刊行。「キネマ旬報」「映画秘宝」「映画芸術」等に映画・テレビドラマ評や映画人への取材記事、「文学界」「群像」等に文芸批評を執筆。「朝日新聞」「毎日新聞」「日本経済新聞」「産経新聞」「週刊朝日」「週刊文春」「中央公論」などで時評・書評・コラムを執筆。特撮・アニメについての執筆も多く「東映ヒーローMAX」「ハイパーホビー」「特撮ニュータイプ」等で執筆。『地球はウルトラマンの星』『特撮黙示録』『ぼくの命を救ってくれなかったエヴァへ』等の著書・編著もある。

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